大阪府枚方市にて、中学生が運転する自転車と歩行中の70歳の男性が衝突 男性は死亡

2021年11月12日大阪府枚方市にて中学生が運転する自転車と歩行中だった70歳の男性が衝突し、男性が死亡する事故が発生しました。

午後6時前、塾からの帰宅途中だった中学3年生の男子生徒が運転するクロスバイクと、歩道を歩行中だった近くに住む熊野俊一さん(70)が正面衝突しました。
事故の衝撃で熊野さんは地面に頭を強く打ち付け病院に運ばれましたが、5時間半後に死亡が確認されたということです。

事故現場の歩道は片側に車線の道路に面していて下り坂になっており、事故当時男子中学生は坂を下っていたとのことです。

自転車死亡事故で負ってしまう高額賠償責任とは

実際に起こった高額賠償責任事例

平成22年1月東京都大田区の交差点にて、交差点を横断中だった75歳の女性に、信号無視をした46歳の男性が運転する自転車が衝突しました。

女性ははねられた衝撃により地面に頭を強く打ち付け病院に運ばれましたが、五日後に死亡が確認されました。
東京地裁は事故を起こした男性に4,700万円の賠償命令を下しました。

平成19年7月男子中学生が運転する自転車と、歩行中の60代の男性が衝突する事故が発生しました。

男性は衝突の衝撃により転倒して頭を強打し、頭蓋骨骨折や脳挫傷を負いました。病院に運ばれましたが数日後に死亡が確認されました。
男子中学生は事故当時無灯火運転だったということです。
事故を起こした男子中学生の家族に約3,000万円の賠償命令が下りました。

この大阪府枚方市での事故の場合、歩道上で歩行者と自転車による事故、となるので過失の割合は基本的に自転車側が100%負うことになります。
万が一自転車保険に加入していなかった場合、歩行中だった男性が亡くなられていることから高額な賠償責任を負うことは避けることはできません。

自転車と歩行者による事故の場合、被害者側の人生を奪ってしまうことはもちろんの事、事故を起こしてしまった加害者側も高額な賠償責任により人生を棒に振ってしまう可能性が大いにあります。

自転車保険に加入しておく事の大切さ

今回の事件では被害者の60代の男性が亡くなられている事から、被害者側の遺族には多くの精神的負担や金銭的負担が重くのしかかることになります。
そのため、加害者側が万が一に自転車保険に加入していなかった場合には莫大な賠償請求が予想されます。

今回事故を起こした加害者は中学生であり未成年のため賠償請求はその家族に請求されることになります。
上記で挙げた高額賠償責任の例で考えると、約5,000万円もの賠償金請求が課された場合、ほとんどの家庭ではすぐに支払うことは難しいでしょう。

自宅や自家用車などを売却して資金を用意したり、最悪の場合は自己破産にすることになることもあり得ます。
被害者側の人生を狂わせてしまうことももちろんですが、交通事故を起こした加害者側も人生を棒に振ってしまう恐れがあるのです。

加害者側が賠償金支払いに応じないと・・

ここまでは加害者側があくまで賠償請求に応じた場合の内容ですが、この賠償請求に加害者側が応じない悪徳なケースも中にはあります。

加害者側が自転車保険に加入していなく、裁判所から賠償請求があったにもかかわらず加害者側が賠償金を一切支払う意思がないと、被害者の治療費や葬儀代などの金銭的負担を被害者側自らが負担しなければいけなくなってしまいます。

自転車保険は事故を起こしてしまった側を救済するだけでなく、被害者側や遺族を救済するためにもとても大切なのです。

そしてそのようなリスクは、自転車に乗るすべての人に大いにあるという事です。

全国の自転車保険加入率

そんな中、全国で自転車保険への加入が義務化、もしくは努力義務とする自治体が少しずつ増加して来ており、2021年4月1日時点での全国の自転車保険加入率は59.5%と約6割に迫っており右肩上がりとなっています。

中でも2018年に自転車保険への加入を義務化とした京都府では、自転車保険加入率は2年連続トップの73.1%となっています。

大阪府では平成28年4月1日に大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(大阪府自動車条例)が制定されました。
この条例には

・『自転車保険への加入義務』
・『交通安全教育の充実』
・『自転車の安全利用』
・『交通ルール・マナーの向上』

が盛り込まれています。

その中でも、『自転車保険への加入義務化』が平成28年7月1日から施行されました。
これは自転車に乗るすべての人は自転車保険に加入しなければいけないと法律で定められたということです。
大阪府では、この四本柱を軸に自転車の安全で適正な利用を目指して取り組みを行なっており、その成果もあってか大阪府の自転車保険加入率は全国で4番目の69.7%となっています。

■ 参考記事
全国各地で進む自転車保険への加入義務化

自転車保険に加入したからといって事故件数が減少することにイコールで繋がることは無いかもしれませんが、様々なリスクを軽減させるという側面では大いに意味があることだと思います。
1日でも早く全国の自転車保険への加入率が限りなく100%に近づくことを願っています。