兵庫県で女子高生のスマホ見ながら運転による自転車事故で、77歳男性が意識不明の重体。

2019年6月17日の午前7時ごろ、兵庫県伊丹市で高校三年生の女子高生が乗った自転車が、登校中の小学生の児童を見守る活動をしていた77歳の男性をひいてしまう事故が発生しました。

自転車に乗っていた女子高生は学校に登校中で、ポケットからスマートフォンを出し、スマホを見ながら自転車を走らせていたとのことです。
この事故で、男性は意識不明の重体となっています。

ながらスマホの自転車事故は2017年にも

ながらスマホによる自転車事故は、2017年にも発生しています。

2017年12月、神奈川県川崎市でイヤホンをし、それぞれの手に飲み物とスマホを持ったまま自転車に乗った20代の当時女子大生(その後退学)が、前方不注意により70代の女性をはね、死亡させる事故がありました。

この事故で加害者は、禁錮二年、執行猶予四年の有罪判決が言い渡されました。
自転車事故で有罪判決となったのは、この事故が初めてです。危険な自転車運転をする加害者の過失が大きいと判断された凡例です。

兵庫県は自転車事故に関しては意識が高い自治体のはずなのに

今回事故が起きた兵庫県は、全国に先駆けて2015年に自転車に関する条例を制定し、自転車保険の加入を義務化しています。
そして、自転車保険の加入率は全国トップです。

兵庫県が自転車保険の加入を義務化した背景には、2008年に神戸市で起きた自転車事故があります。

当時小学生5年生だった男児の乗った自転車が60代の女性をはね、女性は意識不明となりました。
事故当時、男児の乗った自転車は時速20kmほどのスピードが出ており、ヘルメットも装着していませんでした。

この事故の裁判で、男児に対する自転車の安全運転への指導を怠ったとして、男児の親に約9500万円の損害賠償が命じられています

過去にこのような自転車事故が起きた兵庫県で、また同様の自転車事故が起きてしまったことはあまりに悲劇です。

今回の事故も高額な賠償請求は避けられない

今回起こった事故は、加害者の前方不注意が原因であることは明らかであり、意識不明の被害者の方の今後の介護にかかる費用等を考慮すると、高額な賠償請求は避けられないでしょう。

また、加害者は高校三年生です。
一般的に損害賠償責任が免れる責任無能力者は11〜12歳くらいまでと言われているので、女子高生は高額な賠償請求が負うことになる可能性もあります。
裁判所の判断によっては監督者責任として両親が賠償責任を負うことになるので、いずれにしても高額な賠償金の負担は避けられないと思います。

条例制定だけではなく、日頃の安全運転教育も

兵庫県では自転車保険の加入が義務化されていることから、加害者の女子高生が自転車保険に加入している可能性は高く、保険に加入をしていれば被害者への金銭的な損害賠償責任も果たせるでしょう。

ただもちろん損害賠償ができればいいと言うわけではありません。
やはり、このような事故が起きないように自転車の安全運転について今一度考える必要があります。
条例を定めたから安心ではなく、自転車の危険性や安全に運転するためのルールの周知徹底は続けていく必要があります。

自転車事故は未成年者が加害者になることも多いため、親だけでなく地域や学校が一丸となって、安全運転への啓蒙活動を続けて欲しいと思います。