【全国の自転車事故データベース】日本で起きた自転車の交通事故情報のまとめ

大分県で男子高校生が60代女性を自転車ではね、死亡させる交通事故が発生

5月29日の午後8時半過ぎ、自転車に乗った男子高校生がウォーキング中の60代の女性をはねる事故が起きました。はねられた女性は翌日に死亡しました。

事故が起きた場所は自転車の走行可能な歩道です。夜間に事故が発生しましたが、街灯や車のヘッドライトの明かりもあり、見通しは悪い状況ではありませんでした。男子高生の前方不注意が事故の原因であるとみられています。

大分県内で、自転車による死亡事故は発生するのは2006年以来13年ぶりであり、大分県中央警察署は、31日から5日間は交通非常事態宣言を発令し、パトロールの強化をするとの事です。

多発する自転車による死亡事故

自転車による死亡事故が後を絶ちません。自転車事故は自動車事故と同様に、高額な損害賠償責任を負うことや刑事罰に処されることもあります。

実際に多額の損害賠償請求が発生したり、被害者が死亡した自転車事故では以下の事例があります。

60代女性が自転車が正面衝突し死亡。9500万円の賠償金支払いが確定。

2008年9月に神戸市で小学五年生が乗る自転車が60代の女性と正面衝突し、女性は脳挫傷で意識不明となりました。
2013年に、裁判所は加害男児の両親に対して約9500万円の賠償責任を命じました。

加害男児の母親は、普段より自転車の乗り方について注意・指導をしていたと主張したのですが、事故当時、加害男児の乗る自転車は時速20〜30kmほど出ており、またヘルメットをかぶらずに走行していたことから、母親の主張は認められませんでした。

70代女性が自転車にひかれ死亡。スマホ見ながらの運転で。

2017年12月に川崎市麻生区で20代の女子大生が乗る自転車が、歩行中の70代の女性と衝突し、女性は死亡しました。
女子大生はイヤホンをし、飲み物とスマホをそれぞれの手に持ち、さらにスマホを見ながら走行していたとのこと。

この事故は自転車運転事故では初の刑事裁判となり、女子大生には禁錮2年(執行猶予4年)の有罪判決が下されています。女子大生は判決前に大学を退学しました。

横浜市で70代女性が中学3年生の自転車に引かれ死亡。

2017年12月の午後6時頃、横浜市鶴見区で中学3年生の男子生徒が乗る自転車が歩行者の70代の女性をはね、死亡させました。
事故発生当時、日は暮れており、街灯もないことから見通しは悪い状況でした。

自転車保険に入っておくことがなぜ必要か

自動車には法律で加入義務づけられた自賠責保険があります。自賠責保険は、自動車事故被害者に最低限の補償をするために必要な保険です。

しかし、自転車には自賠責保険はありません。自動車と違い登録制度や免許制度が無いため、自賠責保険制度を確立することが難しいのが現状です。
しかし、自転車も事故を起こした場合に被害者を死なせてしまう可能性がある以上、保険で備えることが必要です。

保険で備えることは、被害者の救済だけが目的ではありません。
いくら安全に気をつけてルールを守って走行していても、事故の加害者になる可能性はあります。そのような時にあなた自身を助けてくれるのも自転車保険です。

また自転車保険が役立つのは金銭面だけではありません。事故を起こすと加害者であってもショックが大きいですし、そのときに保険会社や専門弁護士に相談できるのはとても心強いでしょう。

自転車保険を義務化していない自治体は訴えられる可能性も？

2013年の兵庫県を皮切りに、自転車保険の加入義務化(努力義務を含む)を盛り込んだ条例を定める自治体は年々増加しています。条例制定の背景にあるのは、自転車事故による高額な賠償請求です。被害者・加害者のいずれも救済するために、条例を制定する自治体が増えているのです。

事故が起こった大分県では、まだ自転車保険の加入義務化はされていませんでした。
今回の事故を受けて、県の教育委員会は学生に対して交通安全指導を行ったとのことですが、本来であればこのような事故が起こる前に行い、事故を未然に防ぐべきです。

自転車事故による高額賠償請求が問題となって久しいですが、自転車の安全運転や保険の加入義務化を盛り込んだ条例の制定を検討していない自治体は、職務怠慢といわれてしまうかもしれません。
そのような自治体で自転車事故が起きた場合、安全管理を怠ったとして自治体にも賠償責任が生じることも予想されます。

大分の自転車交通事故に対するネット上でのつぶやき