2011年2月ニュージーランドで大地震。ビルの倒壊で日本人28人が亡くなる。

クライストチャーチ地震で倒壊したCTVビル
(地震で倒壊したクライストチャーチ市のCTVビル)

2011年2月にニュージーランドのカンタベリー地方でマグニチュード6.1の地震がありました。特に被害の大きかったのがクライストチャーチ市のため、クライストチャーチ地震とも呼ばれています。

現地ではこの地震で多数の被害者が出て、その中には多くの日本人留学生も含まれていました。

地震による被害と、その後の状況

CTVビル倒壊により、ニュージランド留学中の日本人が多数亡くなる

クライストチャーチ地震は、2011年2月22日に発生しました。
この地震により4~5万棟の家屋が被害に遭い、ビル2棟が倒壊する大惨事となりました。
死者は185人で、そのうち28人が日本人でした。

ここまで日本人被害者が多数になったのは、倒壊したビルの1つが「CTVビル」であったことにあります。
被害にあった日本人は、いずれもニュージランド留学をしていた学生たちでした。

CTVビルの4階には語学学校が入っており、日本人留学生38人を含む多くの留学生が通っていました。
地震が発生した時間はちょうどお昼休みで、多くの学生が建物の中にいました。

地震による大きな揺れにより、CTVビルは水平に落下する形で倒壊し炎上。
この地震による死者185人のうち、115名がこのビルの倒壊により亡くなりました

ビル倒壊の責任逃れをする市や関係者たち

このCTVの倒壊については「人災」であったとの声が出ています。

ニュージーランドでは2010年にもマグニチュード7.0の大地震が発生しており、このときすでにCTVビルには数メートルにも及ぶ大きな亀裂が入っていたことが分かっています。

それにも関わらず、クライストチャーチ市が行なった建物の調査では「安全」と判断されました。
しかも、建物の調査を行ったのは専門的な技師ではなく市の職員が行ったというのですから、この調査がいかにずさんなものだったか容易に伺えます

CTVビルの周辺では他に倒壊した建物が無かったことからも、CTVビルそのものに大きな問題があったことが分かるでしょう。

クライストチャーチ市は地震発生後の2月28日に会見を行い、建物内部の損傷についてはビル所有者の管轄であり、最終的な責任についてもビル所有者にあると述べ、責任逃れをしました。
一方でビルの所有者も、「ビルの管理は管理会社に全て任せていた」とし、それぞれで責任をなすりつけあう状況になっています。

その後はビルの設計者への責任追及も行われましたが、十分な証拠が集まらず、2017年11月に「設計者の刑事責任なし」という最終判断が下され、CTVビル倒壊の責任を誰も取らずに今に至っています。

日本のメディアによる地震直後の取材・報道

【2011年2月22日クライストチャーチ地震テレビ放送(「バンキシャ」より)】


ニュージーランドは地震大国

ニュージーランドは、日本の約7割ほどの国土で人口約479万人の島国です。
環太平洋造山帯に属していて火山活動が活発で、地震が多発する国としても有名です。

北島と南島と小さな島々で構成されており、クライストチャーチ市は南島最大の都市です。自然豊かで治安も良いので、日本人にも留学先としても人気です。

今回の地震では、ニュージーランドが人気の留学先であったことが、悲しいことに日本人被害者が多発した要因の一つとなってしまいました。

【参考】海外滞在中の地震被害は海外旅行保険の対象になる?

海外滞在中に、地震によってケガをしたり亡くなった場合、加入している海外旅行保険で補償されます。
ケガや死亡を補償するのは「治療・救援費用特約」または「傷害死亡補償特約」で、これらの特約では「地震、噴火、これに起因する津波」による被害を補償対象としています(ちなみに国内旅行保険では補償対象外です)。

また、地震の影響によって空港が閉鎖されるなどして予定通りに帰国できない場合、海外旅行保険の保険期間が自動延長される措置が取られます。