海外旅行保険と海外療養費制度の違い。
妊婦さんでも海外療養費制度を利用できるのか?

海外療養費制度と海外旅行保険の関係。妊婦さんへの適用について。

「海外で病院にいくと、医療費が高額になることがある」と聞いた事はありませんか?
なるべくなら元気で帰国をしたいものですが、避けられない病気や怪我もあります。

いざという時に困らないように知っておいて欲しいのが、健康保険の海外療養費制度で、これは日本に帰ってから申請すると海外で支払った医療費の一部が戻ってくるという仕組みです。

ただ、海外療養費制度の申請には期限があったり、専用の書類を用意しないといけないなど、注意する点が多数あります。

今回の記事では海外療養費制度のメリット・デメリット、手続き方法を解説します。

海外療養費制度はどんな場面で役立つか

海外療養費制度は健康保険(国民健康保険)の機能の1つで、病気や怪我でやむを得ず海外現地の医療機関にかかった場合、後から申請をすることで支払った金額の一部が戻ってくるという制度です。

普段私たちが日本で医療機関を訪れる時は、窓口で健康保険証を提示し、これにより窓口では医療費の2割~3割の支払いで済むようになっています。

しかし、この健康保険証は日本国内でのみ有効で、海外の病院では健康保険証は使えません。 そのため海外では自費で診療を受けることになり、とても高額な医療費を支払わなくてはいけません。

ただ、海外で受けた診療でも、「日本の保険診療と同じ治療を受けた」と認められれば支払った金額の一部が戻ってきます。 それが海外療養費制度という仕組みです。

注意する点として、医療費は国によって大きく異なりますので、戻ってくる金額も国や治療内容によって大きく異なってきます。

また、申請は自分でしなければいけないのと、健康保険組合に認められたものしか戻ってこないなどいくつか注意点もあります。

海外療養費制度の申請方法

海外で病院を受診して、海外療養費を申請するまでは以下のような流れになります。

海外の医療機関受診~申請までの流れ

1.海外の病院で治療を受ける。

海外では日本の健康保険証は使えないので、治療費はいったん自費で全額支払いをします。
国によっては自費支払いが出来ないと治療をしてくれない病院もあるので要注意です。

2.病院から必要書類の受け取り

・治療内容の証明書(診療内容明細書)
・医療費の明細書(領収明細書)
・領収書
をもらっておきましょう。

3.国内で健康保険組合に申請をする

海外病院で受け取った書類を用意して、加入している健保組合に提出し、申請手続きを行います。

海外療養費の申請に必要な書類一式

次に、提出に必要な書類を詳しく見てみましょう。
基本的には以下のようになります。

必要となる書類 手配・取得の方法
海外療養費支給申請書 健康保険組合のホームページから印刷して自分で記入します。
同意書
診療内容明細書 健康保険組合のホームページから印刷して、現地の病院または医師に記入してもらいます。
領収明細書
現地で支払った領収書の原本 現地の病院でもらいます。
各添付書類の翻訳文 自分で用意しなくてはなりません。
受診者の渡航期間が分かる書類 パスポートや航空券などのコピーです。

注意する点としては、現地の病院・医師に書いてもらわないといけない書類があることです
帰国後にこれらの書類を書いてもらうのは大変なので、海外に行く際は予め書類を用意しておいた方が良いでしょう。

これらの書類が無ければ海外療養費が支給されない場合があります。

海外療養費制度のここに注意!

次に注意点です。

注意点その1.申請しなければ支給されない

もちろんのことですが、海外療養費は自ら申請をしなければ適用されず、お金は支給されません。
もし海外で治療を受けて自腹でお金を負担したのであれば、帰国後に必ず申請をするようにしましょう。

注意点その2.健康保険組合に認められたものしか支給されない

支給対象についてですが、日本国内で保険適用されてない医療行為は対象外となります。

また、健康保険は日本国内で治療を受けることを原則としています。そのため、日本国内で治療が受けられるのにもかかわらず、治療目的で渡航した場合にも対象外とされてしまいます。

【海外療養費制度の対象となる例】
・海外旅行中に風邪を引いて現地の医療機関で受診
【海外療養費制度の対象とならない例】
・美容整形
・インプラント

注意点その3.現地の担当医に書いてもらう書類が必要

先ほども書いた通り、受診した医療機関で貰わなくてはいけない書類があります。 帰国してから用意するのはとても大変です。

注意点その4.申請に期限がある

申請が有効になるのは、海外で支払った日の翌日から2年間です。
これを過ぎてしまうと権利がなくなってしまいます。

注意点その5.支給決定から口座に振り込まれるまで時間がかかる

申請後、支給決定されてから口座に振り込まれるまで時間がかかります。
状況によって異なりますが、おおより2ヶ月程度とされています。

注意点その6.日本で医療行為を受けた場合の診療報酬点数に換算されて算定される

海外では日本と異なる医療費が請求されます。 そのため、高額な医療費を支払ったのに、海外療養費としては少額しか戻ってこなかったという例もあります。

海外療養費を利用した還付金の事例

海外療養費を利用した医療費の還付金については、もう少し詳しく見ていきましょう。

医療費は国によって大きく異なるため、実際に支払う医療費が算定された医療費を上回る場合と下回る場合があります。

実際に支払う医療費が算定された医療費を上回る場合は、算定された医療費から自己負担分を差し引いた金額が支給されます。
逆に、実際に支払う医療費が算定された医療費を下回る場合、実際に支払った医療費から自己負担分を差し引いた金額が支給されます。

例えば、海外の医療機関で治療後に15万円の支払いをしたとしましょう。
しかし、同様の治療を日本で行って10万円しかかからない場合では、正当な治療費は10万円で計算され、そこから自己負担分3万円(自己負担額3割の場合)が差し引かれ、7万円が海外療養費として戻ってくる形になります。

海外療養費を利用した還付金の事例

逆に、海外の医療機関で6万円の支払いをしたけど、日本で同様の診察を受けると10万円かかる場合は、実際に支払った6万円から自己負担分1万8千円(自己負担額3割の場合)が差し引かれ、4万2千円が海外療養費として戻ってきます。

海外療養費を利用した還付金の事例

必ずしも支払った金額が基準になる訳ではないので注意が必要です。
アメリカ・ヨーロッパなどは日本より医療費が高くなりやすいので、海外療養費だけでは補填が足らず自己負担額が大きくなった事例が実際に多く起きています

たとえば盲腸の手術をした場合、日本では40万円程度で済みますが、アメリカでは200万円程度かかったという例もあります。この場合ですと、実際に200万円支払ったのに対して、海外療養費の支給対象となるのは40万円×70%の28万円だけになります。

このような事態になると自己負担費用がかなり重くのしかかりますね。
そのため医療費が高い国に行く場合には、民間の海外旅行保険に加入してから渡航するべきでしょう。

海外療養費制度があるなら海外旅行保険は不要?

海外療養費制度があるから海外旅行保険に入らなくてもいいのではないか?と思う方もいるかもしれません。
答えは、No!です。
海外旅行保険には確実に加入しておくことをお勧めします。

先ほどの例のように、アメリカの盲腸手術で200万円の支払いが必要な場合でも、日本での医療費で算定されると28万円しか支給されず自己負担金額はとても大きくなってしまいます。

また、海外旅行保険にはキャッシュレスサービスが付いているものもあり、実際に現金を持っていなくても医療機関を受診することが出来ます。
いきなり200万円の請求をされても、すぐにパッと支払いが出来る人は少ないのではないでしょうか。
海外旅行保険はこれだけでも入る価値があります。

その他にも、保険会社のコールセンターが近くの病院の紹介や手配、日本語通訳の派遣などを行なってくれます。
知らない土地、慣れない言葉で病院を探すのは大変なことですから、これらのサービスはとても有用です。

そして海外旅行保険では、病気や怪我の治療費に備えるだけでなく、盗難や破損を補償する携行品損害や賠償責任、航空機遅延などにも備えることが出来ます。 保険会社の統計データによると、海外旅行保険ではこちらの方が多く使われていると言われています。

このように、突発的な病気や怪我の医療費の備え以外でも、様々な場面で役立ってくれるのが海外旅行保険です。
海外療養費制度の事前準備と合わせて、海外旅行保険には必ず加入しておきましょう。

妊婦さんには海外療養費制度はどこまで適応される?

ちなみに、妊婦さんはどの程度海外療養費制度が適応されるのでしょうか。
日本でも出産や検診は健康保険の適用外となるため、海外療養費制度の対象外となります。

しかし、風邪や出血、痛みなどで受診した場合には健康保険の対象となり、海外療養費制度でも対象となります。
つまり、妊婦さんであっても健康保険の対象となる治療については海外療養費制度が適応されるのです。

妊婦さんが特別に感じられるのは、妊婦さんの海外旅行保険が通常の場合と異なるからではないでしょうか。
妊婦さんは海外旅行保険に加入出来ないと思っている方も多いですが、ごく一部の保険会社では加入も可能で、しかも21週までは妊娠異常に関連した治療費までも対象としています。

参考記事 妊婦さんも加入できる妊娠異常を補償する海外旅行保険

もし妊娠中に海外に行かれる際は、必ずそれらの海外旅行保険に加入しておきましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。
元気に何事もなく海外から帰ってくるのが一番ですが、何かあったときに慌てないために、しっかり知識をつけておくことが大切です。

海外療養費制度は便利な制度ですが、デメリットや注意点も多くあります。
それらをカバーするために海外旅行保険があるので、合わせて準備をしておくと安心して海外へ行くことが出来ます。
ぜひ上手にどちらも活用しましょう。

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