新型肺炎・新コロナウイルスへの海外旅行保険の補償状況

各保険会社の海外旅行保険における新型肺炎の取り扱い一覧

世界で猛威を振るう新型コロナウイルスに対して、各損害保険会社が海外旅行保険に対する補償状況について公表しています。
大体どの保険会社も同じ扱いとしており、以下の補償状況になっています。

事例 保険対象となるケース
新型肺炎にかかり死亡した場合
(疾病死亡)

・保険期間中に発病して、保険の終了後72時間以内に治療を開始した場合
・保険期間中に感染して、保険の終了後72時間以内に発病および治療を開始した場合
新型肺炎にかかり治療を受けた場合
(治療費用
治療・救援費用
疾病治療費用)

・保険期間中に死亡された場合
・保険期間中に発病して、保険の終了後72時間以内に治療を開始し、保険の終了後30日以内に死亡された場合
・保険期間中に感染して、保険の終了後72時間以内に発病および治療を開始し、保険の終了後30日以内に死亡された場合
予定していた旅行を中止や変更した場合
(旅行変更費用補償特約)

外務省・日本政府より、渡航先に対して退避勧告あるいは渡航中止勧告が発出され、出国を中止した場合
※退避勧告あるいは渡航中止勧告が発令される前に契約された保険のみが対象です。

各社の細かな記述については以下の各社アナウンスページをご参照ください。
損保ジャパン
「新型コロナウイルスに関する海外旅行保険等の取扱いについて」

三井住友海上火災保険
「【ネットde保険@とらべる】海外旅行中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して死亡、あるいは治療を受けた場合、@とらべるの補償の対象となりますか?」

東京海上日動火災保険
新型コロナウイルス感染症に関する情報

AIG損害保険会社
「新型コロナウイルスによる感染症に関する保険の取扱いについて」

ジェイアイ傷害火災保険
新型コロナウイルスに関するご案内(pdf)

エイチ・エス損保
「新型コロナウイルスに関する海外旅行保険の取扱いについて」

もし海外旅行中に新型コロナウイルスに感染して発症したら?

もし渡航先で新型コロナウイルスに感染し、現地で症状が出た場合、専門医へ搬送され検査・入院を余儀なくされます。

海外での治療費は日本の健康保険が適用されないので、高額な費用がかかります。
特に現時点で新型コロナウイルスの治療方法は確立されておらず、入院・治療期間が長くなることも想定されます。

海外で病院にかかった場合の治療費用は海外旅行保険で補償されますので、必ず海外旅行保険には加入しておきましょう。

【参考】
新型肺炎が流行する今だから海外旅行保険は加入しよう!

帰国後に症状が発症したら、海外旅行保険の補償対象となるのか?

新コロナウイルスに感染しても、すぐに症状が出るとは限りません。

この新型肺炎は潜伏期間が平均7日間と言われており、症状が出始めるのが日本に帰国してからということも十分に起こりえます。

そのような場合、治療費は海外旅行保険で補償されるのでしょうか。

各保険会社が明確な方針を公表してきており、それによると、日本に帰国して72時間を経過するまでに医師の治療を開始した場合は補償の対象となりますが、72時間経過後の治療は補償対象外とのことです。
各社の新型肺炎に対する取り扱いの公表状況はこちら

ただ、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定められる第1類~第4類感染症に関しては、日本に帰国して30日以内に治療を開始すれば補償対象とする例外規定があります。

2020年1月27日時点では、新型肺炎・新コロナウイルスはまだ第1類~第4類感染症のどれにも認定されておりませんので、日本帰国後72時間を超えて医師の治療を開始した場合には保険の対象とはなりません。
しかし、今後この新型肺炎が第1類~第4類感染症のどれかに認定されれば、日本帰国後72時間を超えて医師の治療を開始した場合も海外旅行保険の対象となります(ただし30日以内が上限期間です)。

新コロナウイルスを指定感染症に含める動き

新型肺炎・新コロナウイルスを指定感染症に含める検討を政府が進めているとのニュースも明らかになりました。
指定感染症に定められると、国内での入院などにかかる治療費は公費で賄われることになるので、入院費用・治療費用を自分で負担する必要はなくなります。
(指定感染症の期間は原則1年間で、さらに最大で1年延長することができます)

また、これまでに指定感染症になった感染症には
・鳥インフルエンザ
・SARS
・MERS
などがありますが、指定感染症として定められたあとは第2類感染症に指定されていますので、同種のウイルスである新コロナウイルスも第2類感染症に指定される可能性が高いでしょう。

新型肺炎を取り巻く状況は常に変動しており、新型肺炎への保険の取り扱いについてはまだまだ大きな変更が生じそうです。