2009年11月に、韓国釜山市の射撃場で15名(うち日本人は10人)が死亡した火災事故がありました。
火災の原因は火薬の粉が引火したことによる粉塵爆発です。
この射撃場を訪れていた日本人観光客10名も犠牲となっています。7名が火災発生後に死亡し、3名が搬送先の病院で緊急手術を受けたものの亡くなりました。
3名のうち2名の方には、それぞれ1500万円と1000万円の治療費がかかりました。
一見するとものすごい高額な治療費に思えますが、ICUでの緊急手術を行ったとするとこの治療費は決して高い金額ではありません。
海外の病院では日本の健康保険は適用されず、治療費全額が自己負担となるからです。
そしてこの治療費の支払いを巡って、日韓両政府も巻き込む騒動となりました。
韓国警察は、火災が発生した瞬間の防犯カメラの映像を公開しています。わずか3秒で射撃場の部屋全体に炎が一気に燃え広がったとのことです。
被害者2名が緊急搬送された病院では人命救助を優先し、入院保証金やデポジット(預かり金)無しで治療に当たりました。
被害者が亡くなった後、病院はそれまでにかかった治療費を被害者が加入する保険会社に請求しようとしましたが、被害者はいずれも海外旅行保険には加入していませんでした。
2人合わせて2000万円以上の治療費を負担している病院側は、治療費の支払いに関して公的な保証を求めて日韓両政府に掛け合いましたが、両政府とも「旅行会社が受け取る保険金で治療費の支払いが可能であること」ことや、「個人の治療費を政府が負担することはない」といった理由で応じませんでした。
そこで病院は被害者2人の住む雲仙市へ「遺体の返還」を条件に保証を求めました。「治療費の保証をしないと2人の遺体が遺族の元へ帰ることのできない」状況から、雲仙市は治療費の保証をすることとなりました。
この事故を受けて日本では
「治療費を支払うまで遺体を返さないのはひどい!」
「治療費は被害者ではなく、射撃場側が支払うべきだ!」
という声がありましたが、治療費請求を後にして緊急治療をしてくれた病院側の状況を考えると、批判をするのは少し違うように感じます。
(海外からの旅行者が日本に来て緊急治療を受ければ、同じくらいの金額は当然かかります。)
もし被害者が海外旅行保険に加入していれば、病院側も雲仙市側もここまでの事態になることはなかったでしょう。
このような嘆かわしい被害が出てしまったことは心から残念なことですが、海外旅行時の保険加入がどれほど重要かを考えさせられる事故だったと思います。
参考サイト韓国旅行に必要な海外旅行保険と、観光の注意点
韓国の射撃場火災、被害者は旅行保険に入ってなかったわけだけど、福岡→釜山が飛行機で1時間かかんない距離なんで、あんまり”海外旅行”みたいな実感が無くて保険入らなかったのかもしれない
— ✨私がういにゃんだ✨ (@ui_nyan) November 30, 2009
最後に韓国行ったときに地下射撃場でワルサーP38撃たしてもらったんだけどその翌年くらいに例の火災事故があったんだよな
— 倉 (@lowdamper) March 2, 2018